PHPライブラリ&サンプル実践活用[厳選100]

この書籍は、WINGSプロジェクトが技術評論社を通じて出版した、php の技術書です。

まず、php というスクリプト言語を知っていることが前提で書かれているので、php の入門書としては不向きかもしれませんが、初心者から中級者にレベルアップする段階で非常に役立つ一冊であるのではないかと思います。使い方としては、困ったときのリファレンスというよりは、予め読んでおきたい種類の本ですね。

この本では、php でできる様々なこと 100項目が、簡単なサンプルと共に紹介されています。php といえば、「お手軽に色々な事ができる Web 用スクリプト」というふうに認識されていると思いますが、まさに、その「色々なこと」をシンプルなサンプルコードで100種類紹介されています。
外部ライブラリのインストールなど、一般的な知識は冒頭部分で説明されており、各ライブラリの説明ではインストールよりも使い方にページが割かれています。インストール部分は同じようなことの繰り返しになるため、無駄を削って要点がまとめられていて、ライブラリのカタログ、リファレンスのリファレンスのような使い方ができます。また、紙面では省略されているフルサイズのサンプルコードは、Webサイトからダウンロードできるので、すぐに動かしてみたい場合も、ファイルをダウンロードしてサーバに設置するだけで動かしてみることが出来ます。

紹介されているライブラリは定番の物が中心です。「php でこんなことができる」「こんな外部サービスがある」という発見もあるので、php を使って色々遊んでみたい人、また、初心者の域を超えて実用的なサービスを始めたい人には最初に一読しておくと、今後の php の活用の幅が広がると思います。php 本来の「手軽に色々出来る」が実感できると思います。

Part 2 の Webサービス編では、php の機能というよりは、様々な Web API の紹介がなされていて、また、それを php で簡潔に使うためのサンプルが用意してあります。それぞれの API については、基本的な API の紹介と利用に留まりますが、別途 API やライブラリのリファレンスを読めば、その他の機能も同じように使えるので、この本で興味を持って、その API を勉強し始めるといったパターンもあると思います。また、php には用途のよく似たライブラリが多数存在する場合もあるので、どれを使ったら良いか分からない場合も、本書で紹介されている定番のライブラリを選ぶ、と言う使い方も出来ます。

Part 4 のユーティリティ編では、中級者でもちょっと困ってしまうような問題を簡単に解決できるライブラリが多数紹介されています。これらの存在を知っていれば、少し本格的なサービスを書く際に使える定番の小技を身につけられます。

最後の Part 6 では、もっと本格的なプログラムを書くための、現代的なプログラミングモデルを導入するためのフレームワークが幾つか紹介されています。php の「簡単に動く物が書ける」という利点は、使い手によっては構造的で分かりやすいプログラミングモデルの導入機会を逃してしまうことにもなりかねない罠ですが、ここで紹介されているフレームワークを用いれば、php でも現代的なプログラミングモデルを、共通の形で導入できます。できるはずです。
これらのフレームワークについては、それぞれが一冊の本になるぐらいの内容であるため、本書で紹介されているのはほんの導入部分だけですが、これをきっかけに、業務にも使える php の書き方を勉強してみてはいかがでしょう。
私も、これを機会に FuelPHP の使い方を勉強してみようと思います。

この本は、php を使い始めた人にお薦めの一冊です。


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