西日本豪雨に限らず、水害の多い日本列島。毎日多くのストレージが水に浸かっていることと思います。

幾つかのストレージの復旧をお手伝いさせて貰って思う事。HDDは泥水に浸かると、ほぼダメ、みたいです。元々、HDDのディスクとヘッドは空力で距離をとっているので、完全には密封されていません。穴にシールが貼ってあるものが多いように思います。ここから泥水が入ると、ディスクをバラして、特殊な洗浄をして、クリーンルームで再び組み立てないとダメでしょう。数百万円コースかと思います。

他方、SSDのほうは、アルコールで洗浄して脱水すると、ほぼ(というか全部)動きました。水没時にショートを起こしたりすると壊れることもあるかもしれませんが、SSDは水没にも強いストレージと言えるようです。

Windows Update や、起動時間が劇的に変わるSSD、最近は価格もこなれてきましたし、ちょっと昔のパソコンも、HDD を SSD にアップグレードできます。是非ご相談下さい。


昨日、SSD水没の話を書いていたら、今日、洗濯機の中からUSBメモリが…。どうやら、昨晩、あの記事を書きながら、USBメモリを洗濯していたようです。今回のケースは、もう「すすぎ」まで終わっているので、追加で精製水やアルコールで洗浄するか迷うところですが、外側のプラスチックカバーを壊さずに開けられないので、このままシリカゲルで3日ほど乾燥させてみましょう。それにしてもタイムリーな凡ミス…。

―追記―

十分な乾燥で無事使えるようになりました。データも残っていました。よかった~。


さきほどの「水没したパソコン・データの復旧」で出てきましたが、ストレージの HDD と SSD、時代は SSD になってきています。災害に強いほかにも、毎日の起動が早い、突然故障する確率が低い、などの利点があります。

メーカ保証は切れてしまいますが、お使いのパソコンの環境をそのまま SSD に載せ替えることもできます。ただし、今お使いの HDD より大容量のものが必要になりますので、購入費用が効果になります。場合によっては、容量の少ない SSD に移行することもできますが、お使いの条件によります。

あまりディスクを使っていなければ、容量の少ない SSD に Windows を再セットアップして、データのみ移行する手段もあります。

この機会に、HDD の SSD換装をやってみませんか? 512GB で3万円ぐらいからです。


近年土砂災害に見舞われる広島県、そんな中で水没してしまったパソコンやデータの復元方法をご紹介します。

まず、どちらにしろ、水没した電子機器を救い出したら、すぐに電源と電池(バッテリー)を抜いて下さい。水分が残ったまま通電させると、ケーブルなどを腐食させてとどめを刺してしまうことがありますのでご注意下さい。

水没したパソコンを復活させたい

盗難防止のための暗号化などを用いていた場合、そのパソコンを復活させなければデータは読み出せません。水没してしまったパソコンを動かすには、分解・洗浄して乾燥させる必要があります。。作業は、2~5日、費用は数万円~十数万円かかります。よほど特殊な場合を除いて、新しいものを買った方が安いですが、どうしてもという場合にはご相談下さい。弊社でなくても専門の業者もあります。

データ(デスクトップやマイドキュメント)だけでも復活させたい

パソコンを復活させたい場合、多くは、パソコン本体そのものではなく、内部のデータ(写真や書類など)を復活させたいのではないでしょうか。

データを保存していたストレージ(HDDやSSD)は、電源を失ってもデータを保存しています。ストレージだけを本体から取り出し、洗浄・乾燥させた後に、別の機械でデータだけを読み出すことが可能かもしれません。これも、被害の程度により手法が異なります。また、盗難防止の暗号化を施してある場合、そのパソコンを復活させなければデータも復号できない場合があります。(これが盗難防止機能ですので) 復活させたデータは、外付けHDDでのお渡しになります。

SSD の場合

弊社では、記憶基板をとりだした後、アルコール系溶剤で洗浄・脱水し、読み出せるデータを短時間で読み出した後、正常な機器の上でファイルの復元を試みます。数日で数万円程度の費用になります。機種によっては、ストレージを取り出した後、元通りに組み立てられない物もあります。

HDD の場合

本体は水に濡れたけれど、パソコン内部は少し湿った程度であれば、SSD と同じように措置をします。

泥水にどっぷり浸かってしまった場合には、残念ながら弊社では設備がありませんので、クリーンルームと専用の機材を持つ専門業者に依頼して下さい。この際、HDDが乾燥する前に業者の指示を仰いで下さい。泥が内部の記録版に固着してしまうと、特殊な洗浄でもきれいにできない可能性があります。価格は数十万~数百万円になります。

RAID の場合

NAS やサーバ等で、複数の SSD や HDD を RAID 構成にしている場合には、個別に HDD・SSD のデータを復旧させた後、RAID 構成の再構築が必要です。対象容量の2倍の作業領域が必要になりますので、着手料が高めになりますが、特殊な装置でRAIDを組まれていなければ、数日で復旧できます。実費+数万円の追加費用になります。実費で購入した外付けHDDでのお渡しになります。

復旧の限界

予期せぬ水没時には電源が刺さっていて、バッテリーも装着された状態だと思います。水没でストレージがダメージを負っている場合、一部または全部のデータがそもそも読み出せなくなっている可能性があります。また、内部に水気が残っている状態で電源を入れてしまったりすると、とどめを刺してしまうことがあります。弊社の実績では、必要な情報が取り出せなかった事例はありませんが、2件ほど、極めて深刻なダメージを負っていたものの、奇跡的に必要なデータだけ損傷していなかったというケースもありました。自己判断で操作される前にお呼び頂ければ成功率はぐっと上がります。

一方で、とても手間と技術と時間のかかる作業ですので、どうしても着手時に頂く費用もそれなりにかかりますし、成功・失敗に関われず、その費用はかかります。(早期に断念した場合には安くなりますが…) いずれも日頃のバックアップを大事にして下さい。


多くのノートPCに搭載されている Synaptics のタッチパッドでは、スクロール中に指をグルグル回すことで連続してスクロールできる機能(Chiral Scroll)が搭載されています。ほとんどのメーカ提供のWindowsドライバではこの設定が可能ですが、Windows10等のアップデートの際に、メーカの最新ドライバをインストールすると、何故か、この設定が出来なくなります。

その場合は、レジストリエディタで

コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Synaptics\SynTPCpl\Controls\03TabScroll\4OneFEdgeScrollChiralCheckBox

を辿り、Visibility の項目(たぶん4になっています)を、2 にしてみて下さい。設定画面のスクロールタブに、カイラルスクロールの項目が設定画面に表示されるようになります。お試しあれ。(環境によっては 0 に設定すると、項目が現れるようですが、どのみち非公式の使い方なので、挙動は保証できません)


このごろ、夜間にフレッツの混み具合がひどくなっています。大容量転送をしなければ支障が出るレベルではありませんが、遅延もひどく、ntp の delay が通常の20ms弱から60ms超へとひどく遅延しています。

夜間になるとひどく遅延が大きくなり、時刻合わせに影響が出る。
夜間になるとひどく遅延が大きくなり、時刻合わせにミリ秒レベルの影響が出る。

このグラフは時刻合わせ(ntp)のモニターなのですが、時刻サーバまでの通信時間(緑)が毎晩大きくなり、時間のジッタ(不確定さ)(橙)も15~20msまで悪化しています。こんなに時刻が揺らいでしまっては、この時間帯は時刻サーバを無視したほうがマシです。

そこで、ネットワーク経由以外の時刻合わせを使う事にしました。GPS信号を受信し、シリアルポートのキャリア検出か、パラレルポートのACKに標準時パルスを入力してやれば、ネットワークの混雑でも悪化しない、正確な stratum 0 の ntpd サーバを作る事ができます。

と言うわけで工作。

GPSモジュールをUSBとパラレルポートに接続する回路の製作
GPSモジュールをUSBとパラレルポートに接続する回路の製作

黒いボックスがオールインワンのGPSモジュールです。こいつに電源を繋いで、データ入出力をUSBでサーバに取りこみます。ユニバーサル基板は高校生の時のストックを切って使いました。

GPS の制御・受信情報は、シリアル-USB 変換をして USB ポートから /dev/ttyUSB0 (Windows だと COM3)として入力します。同時に、USBから 5V-DC の電源をとります。電源電圧が、USBは5V、GPSモジュールは3.3Vと異なるので、レギュレータで変圧します。消費電力が小さいのでヒートシンクはいらないでしょう。定石通り、手持ちのキャパシタ(電解+セラミック)を適当にいれます。

パラレルポートへのパルス信号は、アメリカの標準時計。日本の時計と秒刻みのズレは無いものの、何かちょっと悔しいですね。このパルスで正確に割込を入れるため、カーネルレベルで強い割込のかかるパラレルポートの ACK# ピンを使いました(IRQ4)。このケーブルは脱着式にしたかったので、ノイズに強く高周波を通す Ethernet (cat.5e) ケーブルを転用。PoE 対応なので DC から100MHzまで結構何でも通しちゃう優れものの万能ケーブルで、しかも安価で手に入りやすい。

パルス出力は 2.8V と中途半端ですが、パラレルポートの TTL には High に判別されるのでTTL変換は使いません。タイミングが命なのにバッファを入れたくないかなと(でももっとタイミングがシビアなメモリはバッファが入ってますね)。LED直挿しなのはお許しを。

これが正確に1秒を刻みます。パラレルポートの ACK# はカーネルに強い割込をかけられるので、このパルスのタイミングを高精度(およそ数十ナノ秒)に取りこむことができます。USBでは無理な、レガシーデバイスが活躍する場面です。

あとは、この回路での遅延などを計測・調整すれば、最上位 stratum 0 の ntpd サーバのできあがりです。

この標準時を使い始めたあと、先ほどのネットワーク経由の時刻合わせを見てみると…

夜間に遅延がひどいntpd

遅延(緑)が大きくなるときは、上りより下りの遅延の方が悪化がひどく、ジッタ(橙)だけでなくオフセット(青)も大きく(10~20ミリ秒)ずれていることがわかりました。これはかなりひどいですね。簡易な GPS-NTPD でも、stratum 0 で 100ns、ネット越しの stratum 1 で、10ms の精度が安定して確保できます。

安定しているときのオフセットが 0 になるように、ローカルの PPS Delay を調整して追い込んでいけば、100ns 以下の精度が出ます。

サーバに手を入れたくない場合は、Raspberry Pi 等を使って、単独 ntpd サーバを作る事もできます。拠点間で時刻を正確に合わせたい場合や、マイナンバー関連で局所ネットワークがインターネットから切り離しているパソコンの時刻合わせなどに使えると思います。時刻の合わない端末がある方はご相談下さい。


Pokémon GO が wi-fi でハングアップしやすいかたへ。ダメで元々の解決するかも知れないヒント。

ルータの管理画面でファームウエアを最新にして、「バースト転送」「ひかりテレビ対応」のような必ずしも必要のない設定を off にしてみよう。

ルータが Linux な方は、net.ipv4.tcp_wmem の第1引数を、MTUの2~4倍ぐらいにしてみよう。


Ivy Bridge は、Core i7/5 3000番台ですが、この世代から、CPUパッケージ内部の冷却機構に変更がなされ、十分な放熱ができず、温度が足かせになる場合には性能が発揮できないケースもありました。
以前より荒技で解決する強者も居りましたが、弊社ではクラウドファウンディングに出資して、より安全な作業の出来る工具を調達しました。
結論から。3770K を 4.5GHz で利用時の温度です。以前は95℃近くまであがっていた(メーカが定める上限は105℃)フルロード時の温度が、80℃程度までに収まるようになりました。(太い赤線がTIM交換時です)3770KTIM

あまり皆さんに推奨できる方法ではありませんが、Ivy 世代で思わぬ発熱に泣いておられる方、ご相談下さい。ただし、当然ながら失敗もありますので、覚悟が必要です。

事もあろうに、作業に必死で写真を撮り忘れたのと、動画がピンぼけだったので、あまり写真が無いのですが。。。
ダイの乗った基板とヒートスプレッダを安全に分離
殻割り後のCPUダイとヒートスプレッダ。イソプロピルアルコールで古いTIM(グリス)をあらかた拭いた後です。周りの残った接着ゴムも綺麗にします。

再接着用治具

高性能グリス(今回は金属ベースのペースト)を塗布し、周囲に瞬間接着剤を塗布して、真上からヒートスプレッダを元の位置に慎重に戻します。固定場所がずれないように、専用の治具で固まるまで固定します。

詳しくは、一番上の PC Watch の記事ご覧下さい。