About 槌本 裕二

えっとワークのシステムを作っています。

近年土砂災害に見舞われる広島県、そんな中で水没してしまったパソコンやデータの復元方法をご紹介します。

まず、どちらにしろ、水没した電子機器を救い出したら、すぐに電源と電池(バッテリー)を抜いて下さい。水分が残ったまま通電させると、ケーブルなどを腐食させてとどめを刺してしまうことがありますのでご注意下さい。

水没したパソコンを復活させたい

盗難防止のための暗号化などを用いていた場合、そのパソコンを復活させなければデータは読み出せません。水没してしまったパソコンを動かすには、分解・洗浄して乾燥させる必要があります。。作業は、2~5日、費用は数万円~十数万円かかります。よほど特殊な場合を除いて、新しいものを買った方が安いですが、どうしてもという場合にはご相談下さい。弊社でなくても専門の業者もあります。

データ(デスクトップやマイドキュメント)だけでも復活させたい

パソコンを復活させたい場合、多くは、パソコン本体そのものではなく、内部のデータ(写真や書類など)を復活させたいのではないでしょうか。

データを保存していたストレージ(HDDやSSD)は、電源を失ってもデータを保存しています。ストレージだけを本体から取り出し、洗浄・乾燥させた後に、別の機械でデータだけを読み出すことが可能かもしれません。これも、被害の程度により手法が異なります。また、盗難防止の暗号化を施してある場合、そのパソコンを復活させなければデータも復号できない場合があります。(これが盗難防止機能ですので) 復活させたデータは、外付けHDDでのお渡しになります。

SSD の場合

弊社では、記憶基板をとりだした後、アルコール系溶剤で洗浄・脱水し、読み出せるデータを短時間で読み出した後、正常な機器の上でファイルの復元を試みます。数日で数万円程度の費用になります。機種によっては、ストレージを取り出した後、元通りに組み立てられない物もあります。

HDD の場合

本体は水に濡れたけれど、パソコン内部は少し湿った程度であれば、SSD と同じように措置をします。

泥水にどっぷり浸かってしまった場合には、残念ながら弊社では設備がありませんので、クリーンルームと専用の機材を持つ専門業者に依頼して下さい。この際、HDDが乾燥する前に業者の指示を仰いで下さい。泥が内部の記録版に固着してしまうと、特殊な洗浄でもきれいにできない可能性があります。価格は数十万~数百万円になります。

RAID の場合

NAS やサーバ等で、複数の SSD や HDD を RAID 構成にしている場合には、個別に HDD・SSD のデータを復旧させた後、RAID 構成の再構築が必要です。対象容量の2倍の作業領域が必要になりますので、着手料が高めになりますが、特殊な装置でRAIDを組まれていなければ、数日で復旧できます。実費+数万円の追加費用になります。実費で購入した外付けHDDでのお渡しになります。

復旧の限界

予期せぬ水没時には電源が刺さっていて、バッテリーも装着された状態だと思います。水没でストレージがダメージを負っている場合、一部または全部のデータがそもそも読み出せなくなっている可能性があります。また、内部に水気が残っている状態で電源を入れてしまったりすると、とどめを刺してしまうことがあります。弊社の実績では、必要な情報が取り出せなかった事例はありませんが、2件ほど、極めて深刻なダメージを負っていたものの、奇跡的に必要なデータだけ損傷していなかったというケースもありました。自己判断で操作される前にお呼び頂ければ成功率はぐっと上がります。

一方で、とても手間と技術と時間のかかる作業ですので、どうしても着手時に頂く費用もそれなりにかかりますし、成功・失敗に関われず、その費用はかかります。(早期に断念した場合には安くなりますが…) いずれも日頃のバックアップを大事にして下さい。


花房孟胤「予備校なんてぶっ潰そうぜ」

自分のサービス(仕事)で社会を変えてやる。そう本気で思って行動したことがありますか?

これは、コミュニティ型電子予備校のさきがけであった「manavee」の立ち上げと成長に纏わる、学生起業の顛末を生々しく本人が語った本でした。manavee は、継続不能が宣言された今でも、日本の教育格差を根本から変えうる素晴らしいサービスアイデアだと思います。また、この本を読んでも、その立ち上げや運営に相当な落ち度があったとは思えません。ただただ、こうした思想型ベンチャーと「収益化」の難しさ、「収益化のプロと一緒に立ち上げる難しさ」を感じました。

学生だから考えが甘かった、とも言えるかもしれませんが、アイデアを思いついて実装していく段階では、企業であっても似たようなものだと思います。むしろ、経営体力のある大手企業の方が、最初の採算性など考えずに始められるのではないでしょうか。資金力も無い中で突き進んだ彼の行動力は一流です。そして、教育格差を解消するという大義名分も非常に素晴らしいものです。学生のうちは2~3年費やしてもまだまだ若いので、こういう事を思いついて、行動力があるなら、生まれ変わってもまたやるべきだと思います。

講義をする先生もボランティア、視聴する生徒も無料で視聴できる、ある意味理想の経営ですが、収益化する道筋が見えません。これは、私もビジネスコンペでよく言われることなので、自分のことのように思えました。しかし、大きな理念があるなら、しばらくはそれで突き進めますし、ついてきてくれる人もいます。しかし、規模が大きくなって固定費が大きくなり、参加者のモチベーションもそれぞれとなってくると、これは、ビジネスとして企業体にまとめる段階がやってきます。ここで大事になってくるのが収益化です。収益が上がるから色々な人をまとめることができ、継続可能なビジネスとなります。色んな困難にうまく対処しつつも、こうした変化に対し消極的でありすぎたのかもしれません。

視聴者・ボランティア講師・コアスタッフ・その他関係する方々を、もっとうまく「巻き込む」こと、方々の意見をもっともっと取り込むことの重要性を改めて認識させられました。私も、今までのプロジェクトの中で、うまく力を生かし切れなかった、うまく巻き込めなかった「協力的な人たち」が沢山いましたし、こと、お金に関しては決断できなかったこともありましたので、このあたりは非常に共感できるものがありました。成功している人は、このフェーズで早々と資金を調達し(或いは親が出資したり)ているように思えます。しかし、彼のようなスモールスタートは、決して悪手ではないはずです。

うまくやれば、うまくいったかもしれません。しかし、これを進めれば、やがては既存の予備校グループに組み入れられてしまう結果に終わったように思います。視聴者からも最小限の費用は取ろう、最小限と言っても少しは利益を上げないと継続できない、そうしているうちに、潰そうと思っていた予備校そのものになってしまう未来だった様にも思います。教育格差をなくすのか、教育格差を少し縮めるのか、これは大きな選択です。よく考えてみれば、格差をなくすことはできないので、「どの程度縮められるか」という落としどころを探るしかないのですが、「教育格差をなくす」にこだわり「予備校をぶっ潰そうぜ」と突き進んだのは潔くもあります。

また、支えてくれる女性の存在が、いかに大事なものかも教えてくれます。彼女は、彼を、というよりもmanaveeを好きだったのだと思いますが、彼にとっては大きな存在だったのだと思います。無条件で支えてくれる人が一人いれば、人間は結構がんばれるものです。ただ、先頭を行く人間とは孤独なもので、もっと色んな人の力をうまく借りる努力を、最初のうちからもっと組み込まないといけませんでした。

文体も読みやすく、一気に読める分量です。運営者と共感者の人間関係を中心に、組織の成長と成熟が生き生きと(生々しく?)書かれている良本です。




2018年の日本生命セパ交流戦の全日程が終わりました。

予想外の、というと失礼ですが、セリーグ最下位のヤクルトが勝率1位。以下、楽天を除くパリーグが名を連ね、続いてセリーグとなりました。ヤクルトとパリーグが勝ち、楽天とセリーグが負けた形となった今年の交流戦を数字でふり返ってみましょう。

なお、交流戦は5月29日から始まっていますが、29日の勝ち負けが分かるように、グラフは27日から描いてあります。ご留意ください。

まずはセ・リーグから見ていきましょう。

まずは勝ち負けがわかりやすい貯金推移から。

2018年交流戦中のセ・リーグ貯金推移

なんと言っても借金10からのヤクルトのスタートダッシュが目立ちます。集団から離されていたところを一気に追いつきました。広島の後半の連敗も目立ちますが、混戦でよく分からないところで、2位だった阪神がカープより勝ててなく、ゲーム差はさほど変わりませんでした。広島以外が借金生活となってしまいました。

日本のプロ野球は「勝率」で順位が決まるので、勝率の推移を見ていきましょう。

2018年交流戦中のセ・リーグ勝率推移

4割以下だったヤクルトが5割近くまで戻し、6割超えだった広島が5割5分まで下げました。混戦模様で突入した交流戦ですが、より混戦になって出口を迎えました。中日がやや遅れたか。

それでは、優勝確率はどのように推移したでしょうか。

2018年交流戦中のセ・リーグ期待順位推移

この「期待順位」は、相手チームとの相性を元に「このまま行けば」最終的にどの順位になるかの期待値を示します。ですから、交流戦中は、交流戦ならではの挙動が見られました。

1.6位で交流戦に入った広島は、5連敗があったものの、「今後のセ・リーグ内では6割勝つだろう」という「このまま行けば期待」がありますので、逆に1.4位に順位を上げています。2番目に付けていた阪神が広島以上に勝てなかったのと、残り試合が減ってきた影響ですね。

5.3位だったヤクルトは、6連勝で4.4位まで順位を上げます。最初から大型連勝をすると「交流戦中は全勝に近い勝ちを上げるかもしれない」という「このまま行けば期待」が入って一気に期待値が上がりますが、その分、それ以降は勝って当たり前、負ければ大きく数字が下がるという状況になります。後半はその期待ほどは勝てなかったので、じわじわと順位を下げて5.1位。もちろん「交流戦後のリーグ戦ではまた4割しか勝てないだろう」という「このまま行けば期待」によりこの順位です。リーグ戦再開後の調子が気になりますね。

 

続いてパ・リーグを見てみましょう。

2018年交流戦中のパ・リーグ貯金推移

借金11で突入した楽天の1人負けとなりました。楽天以外の5チームが貯金生活に入りましたが、ゲーム差に大きな変動はありませんでした。

続いて勝率変動を見ていきましょう。

2018年交流戦中のパ・リーグ勝率推移

5割5分を挟んで5チームが5割台で並んでいます。2強だった西武と日本ハムが、リーグ戦ほど勝てなかったので、3位集団が追いつき、セ・リーグほどではないにしろ、交流戦突入時よりも混戦気味となって出てきました。

それでは、期待順位はどうでしょうか。

2018年交流戦中のパ・リーグ期待順位推移

セ・リーグでも見られたように、「このまま行けば」今後はやはりリーグ戦で強かった西武と日本ハムの対決になりそうです。3位集団の3チームは、交流戦の調子は良かったものの「リーグ戦ではまた離されるだろう」という「このまま行けば期待」が強いです。楽天は、5.9位と、この時期にしては6位に極めて近い順位になってしまいました。興味深いのは、オリックスとロッテの差が僅かに開いているところです。交流戦成績は、オリックスが11勝6敗1分、ロッテが11勝7敗とオリックスが1分け分上回ったのですが、18試合消化して1分け分しか追いつけないのでは、むしろオリックスのリードが僅かながら固まった、と言うことですね。もちろん、僅差には変わりないので、まだまだわかりませんが、今後は残り試合数との兼ね合いでゲーム差が重くなってきます。

 

 

交流戦が始まった直後に連勝連敗すると「このまま行けば全勝(全敗)するかも期待」が発生するため、期待値が大きく動きますが、期待に応えられなければ落ちついていきました。特に今年の交流戦は、順位を争うライバルチーム間での勝敗差が少なかったため、交流戦の前後での順位の変動は少なくなりました。

終わってみればあまり変わらなかったのは、結局、最終順位には、143試合中の18試合分の影響しかない、ということですね。

しかし、これは「このまま行けば」の話。計算機中のリーグ内の相性は1ヶ月前で止まっていますので、交流戦で勢いのついたチームが、今後リーグ戦で大きく躍進する可能性は十分にあります。同時に、残り試合が80試合ほどになり、序盤よりも1ゲーム差がずいぶん重くなってきていました。

このように、プロ野球ニュースでよく聞く「ゲーム差」は、(勝利数ー敗北数)というわかりやすい数字ではあるのですが、残り試合によって重みが変わってきます。また、最終的には「勝率」で順位が決まるため、去年のように「マイナスゲーム差」が生じたりと、常に順位の差を表す指標として機能しなかったりします。そこを全て補正したのが、順位の期待値である「期待順位」です。最終順位の予想ではなく、現在の勢いの把握に使ってくださいね!


閲覧者にマイニングさせたからといって、それだけでは悪質だとは言えないのではないか」と言いましたが、確かに、これを放置したのでは、そのうち悪質なものが出てくることは目に見えています。

広告でも、あたかもシステムがウイルスに感染しているかのような警告文を表示させ、対策ソフトと称して不正なプログラムをダウンロードさせる広告が溢れています。閲覧者マイニングモデルも、同様の危険性を備えています。

一番ホットな話題で言うと、「漫画村」をはじめとする不法配信サイトのほか、いわゆる「ステルスマーケティング」や、デマを拡散する悪質なまとめサイトなどに対し、最近、広告主を動かすことによって広告収入を激減させる攻撃、いわゆる「広告剥がし」が行われています。良質な広告主が無ければ収益は大きく下がりますので、スポンサーリテラシが急速に求められ始めてた近年では、一定の効果のある対策です。ただし、この「広告剥がし」も、広告の流通が数社に事実上独占されている状態では、インターネットでの情報発信の可能性を限られた会社の判断で潰してしまえるという事でもあるので、それはそれで別の危険をはらんでいます。

今回の「閲覧者マイニングモデル」は、利用者が長時間滞在する「漫画村」のようなサイトの新しい収益減としてマッチしてしまいます。もちろん、これも、マイニングが悪いのではなく、海賊版を不法公開しているのが悪いのですが、なかなかに難しい問題です。

また、合法的なマイニングにしても、どの程度までリソースの使用を許すか、という線引きが必要です。スマホのCPUを目一杯使われると、当然バッテリーをものすごい勢いで消費しますし、放熱の悪いモデルでは、過熱によりカメラなど一部の機能がしばらく使えなくなります。これはさすがに迷惑ですよね。広告も同じぐらい迷惑だという人も居ますが、広告モデルはその歴史の長さもあり、あまりに常識を逸脱した広告はごく一部です。このページも、Google広告のテストの一環でちょっと多めの広告が入っていまして(どの程度広告を表示させるかはGoogleのさじ加減ですが)、申し訳ないことに、読み込み時に余分な通信とCPUを食いますが、読み込んでしまってからはCPUはほとんど動きません。(Google広告には、悪質な広告が少ないので)

もちろん、どうしても気に入らない場合は、そのサイトに行かなければ良いのですが、マイニング利用が明示されてなければ、どのサイトに行かなければ良いのかも分かりません。その意味でも、「利用者マイニングは全てが違法ではないが、適正な範囲内で行い、その事を明示する必要がある」あたりで線引きしなければならない気がします。この「適正な範囲内」というのが曖昧なままですが、これがはっきりするのは、この技術が一般化して「この辺が落としどころだよね」という世間との暗黙の合意が形成される時です。つまり、今の時点で「明らかにやり過ぎ」た場合を除けば、グレーゾーンのどこに基準ができるかはまだわからないのです。

最近は、EUを中心に、広告の最適化に対しても、ユーザの合意を得るように法令が変わっています。「事前の合意」と「選択肢の提示」は、これからの開発者に求められるのかな、と思います。しかし、ここで注意して欲しいのは、EUの動きは、(主に米国の)大企業による情報のコントロールから(欧州の)個人を守るためであって、国家の権力を国民に行使するためではありません。EUのプライバシー法では、一回目は必ず警告を行い、それでも改善しない場合に罰則を科すという規定になっており、摘発よりも予防を促していることが覗えます。今回の騒動とは「国家と法律の役割」の向きが完全に違います。

また、一般にブログを書いて広告を載せているようなサイト全てが、「広告最適化のためにクッキーを利用して良いですか? 広告を表示せず、マイニングの資源を提供してくれますか? それとも少額の寄付をお願いできますか?」と尋ねる仕組みを導入するのは大変ですし、初めて行くサイトでイチイチ同じ質問をされるのも、迷惑広告と同じぐらい迷惑ですよね。もっと包括的で効率的な解決技術が必要となってきているように思います。

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神奈川や福岡で、不正マイニングを行ったとして16名が検挙されました。最初に主張したいことは、「マイニング」も「暗号通貨(仮想通貨)」も違法行為ではなく、また、今回の件では、ウイルスなどの違法な技術は使われていません。まして、閲覧者の保有する暗号通貨を奪ったわけでもありません。

ここで「マイニング」という言葉が出てきます。マイニングとは、暗号通貨の用語です。暗号通貨では、中央管理センターを置かずに、利用者が少しずつ運営に必要なデータの中継や整理を手伝う仕組みになっています。その貢献に応じて、少額の報酬が暗号通貨で支払われます。この「リソースを提供して暗号通貨を受け取ること」をマイニング(採掘)と呼びます。もちろん、これ自体に違法性はありませんし、莫大な報酬があるわけではありません。日本では一般的に、マイニングで受け取れる報酬より、マイニングにかかる電気代の方がかなり高くなります。電気代の安い中国などでは、専用のコンピュータを体育館のような工場に大量に列べて、「塵も積もれば山となる」作戦を行っているマイニング工場もあります。大きな利益を得るには、こうした大規模な設備が必要です。

今回問題となっているのは、Webサイトに、このマイニングプログラムを潜ませて、閲覧者のパソコン・スマホに、このマイニングを手伝わせた事が、違法だと言われています。一部では「ウイルス」と絡めている人も居ますが、ウイルスのような感染能力は無く、広告を読み込ませるような要領で、マイニングプログラムを読み込ませていました。

これが違法かどうかは、今後の裁判次第ですが、私個人は、これに関しては、悪質性は低く、違法性についても微妙だと思います。

まず、「閲覧者の同意なく、意図しないプログラムを動かした」事が全部悪であれば、アニメーション広告なども悪いという事になります。実際、一部のアニメーション広告の方が、このマイニングよりもユーザのリソース(計算量や通信量)を食い潰します。ただし、「閲覧者のリソースを用いて広告を表示すること」は、以前からテレビやラジオでも行われています。テレビでも広告を視聴しているときの電気代は視聴者負担ですよね。ですから、これの延長で考えれば、「コンテンツの合間に広告を表示すること」は、ある程度は社会の中で暗黙に合意が成されていると考えられます。

一方、今回の「マイニング」は新しい技術ですので、まだそうした暗黙の合意はありません。ここが「違法性」に繋がる根拠とされています。もちろん、予めの合意がなくても、サイトのポリシーなどで説明すべきだったと思います。ただ、このマイニングで得られる報酬は極めて僅かなものです。専用のコンピュータが何千何万も並んでいるマイニング工場に比べて、パソコンやスマホの計算能力はたかがしれています。実際にどの程度の報酬を得ていたのかわかりませんが、よほど多くの閲覧者が長時間閲覧するサイトでなければ、現実的な金額にはなりません。これは通常の広告で得られる収入を下回るもので、稼ぎたかったのであれば素直に広告を掲載すれば良かったのです。むしろ、技術的実験の性質が強かったと思われ、これが、悪質性が低いと思う理由です。もちろん、これは程度問題で、マイニングソフトをインストールさせて常時フルパワーでマイニングさせるようなことであったなら、かなり悪質だと思います。今、公開されている情報によると、今回はそういう悪質なものではなかったようです(注:追記1)。

 

そもそも、Webサイトの運営や、色々なアプリ・サービスを提供するには、多くの経費がかかっています。ですが、多くのWebサイトやアプリが実質無料で提供されていますよね。その裏には、広告収入で管理運営費を賄っているものが多くあります。テレビの民放無料放送も広告頼みです。広告は、多くの場合、ユーザの利便性の妨げになっていますが、ユーザが許容範囲だと思う範囲で広告を流します。広告業者は、効率よく広告を配信するために、閲覧者の好みを把握しようと色々な仕掛けをしています。最近探した商品の広告が出ていたりしませんか? EUでは、この広告最適化のほうをプライバシーの観点から問題視しています。

広告を使わず、サイトの運営費を賄うことができれば、運営者も閲覧者もより幸せになれるかもしれません。そうした技術的試みの最先端が「閲覧者によるマイニングサポート」なのです。この技術は、先ほども述べたように、うまく調整すれば、一部の動画広告よりも閲覧者の負担は少ない場合もあります。とりわけ、スマホの場合は動画広告の使う通信料金(パケット料金・「ギガ」)はかなり多くなります。また、スマホにプリインストールされているアプリの中には、スマホのリソースを勝手に使うものもありますが、ずっと違法性は指摘されていません。旧来からあるものだから暗黙の合意があるとされ、新しい技術は、よくわからないから合意がない、即ち違法、という法の拡大解釈は極めて乱暴です。

まして「違法行為の疑い」だけでサーバ類を押収されるのであれば、弊社のような小規模企業は潰れてしまいますし、新しい試みができなくなります。大企業がやってる事は正しいけど、よく分からない人がやってるよく分からないものは悪いもの、今回検挙された人たちも、よく分からないけど悪いことをしたに違いない、そんな国にはなって欲しくありません。ただし、問題がないわけではないので、線引きは必要になると思います。

追記1

詳細が公開されると、やややり過ぎと思える例もあるようです。

追記2

マイニングスクリプト(プログラム)を自作した人が、ウイルス作成罪に問われていますが、マイニングプログラム自体はウイルスのような悪い物ではありません。

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とある週末、知り合いの社長の奥様がそろそろ車を買い換えたいというので、高級車が並ぶディーラーへお供することになりました。

一足早く、愛車のK11マーチで乗り込んだのですが、車を見るなり「ここはお前の来る所じゃない」オーラ全開の店員達。ま、実際、私の買えるような値段の車はありませんけどね。

そこに、少し遅れて、奥様がやってきました。

本当の「お客様」が来たので、態度を一変させて「○○様、こんにちは。こちらへどうぞ。」と出迎える店員。奥様は、壁際に突っ立っていた僕を見るなり「あら、あなた、試乗でもさせてもらえば良いのに」とおっしゃるので、こちらも苦笑い。

すると、ソファに腰掛けた奥様が店員にこう言ったのです。

「あなた、この子(私のこと)がせっかく見に来とるのに、(試乗車に)乗せてあげんさいやね。そりゃね、今はここの車は買えんかもしれない。でも、がんばって、いつかここの車を買おう、と思わせるのがあなたらの仕事でしょう? それなのに、人を見た目で判断して、買いそうな客だけを相手にしとったら、そりゃあ、ブランドが営業してるだけよ。」

なるほど、それは私も耳が痛い。これまでの職場はレベルの高い職場だったので、自分まで偉くなった気がしていたなあ。営業職ではなかったけれど、まさに自分も「ブランドの営業」だったなあ、と思いました。

「あなたも、肩書きの無い名刺で600万円の車を売ってみなさい。」

若くして夫婦で独立され、成功してきた奥様らしい言葉でした。社長に聞くと、バブル崩壊の時に大胆な不動産投資で大損を出した社長を尻目に、手堅い投資でそれ以上の運用益を出し続けてきた奥様に、社長も頭が上がらないとか。さすがです。


僅か18試合なのに、ペナントレースの調子を大きく左右する、日本生命セパ交流戦が今年も始まりました。我らがカープは強力西武打線の前にボロ負けのスタートとなりましたが、皆さんの応援するチームはどうでしたか?

交流戦はホーム・ビジターの片方でしか試合がありませんし、試合数も少ないので、なかなか統計上も扱いにくいんです。カードが一巡するまでは計算が不安定ですが、一巡したら終わってしまうという、統計泣かせの制度です。

でも、普段対戦しないチームの選手を見たり、応援歌を聴いたりと、交流戦ならではの楽しみはすっかり定着したんじゃないかと思います。初日を見ると、今年もパリーグ優勢の予感。なんとか5分で抜けたいものです。

交流戦が終わると、ペナントレースも中盤の6連戦ラッシュに入ってきます。だんだんリーグ優勝関連の数字も動きが固まってきます。熱帯並に圧に日本では、真夏の試合でホーム球場のコンディションがスタミナの消耗に係わってきそうですが、それは言っても仕方の無い事。一層の応援で暑さを吹き飛ばしましょう!


今、どの業種にも求められている能力、それはコミュニケーション能力(コミュ力)だといっても過言ではありません。

それにしても、世の中どうしても話のかみ合わない人がいます。どうしたらいいのでしょう。

しかし、ちょっと考えてみてください。金太郎飴のように均質な教育で同じような思想の人間を大量生産していたのは過去の話です。子ども達は大衆向けテレビよりもお下がりのスマホで YouTube をみてますし、奇抜なアイデアを競うイグノーベル賞では、日本人はもはや常連です。民族的には均質性が高い国かもしれませんが、それに比べて価値観の多様性では世界でも高い方ではないかと思うのです。

ですから、そもそも何もしなくても誰とでも話がかみ合う、なんてのが過去の話なのです。全ての人と会話を成立させるにはそれなりの努力が必要です。

「この人はなんでこんな言い方をするんだろう」「この人はなんでここにこだわるんだろう」そう面倒に感じたときは、その人の目線に立って考えてみましょう。もちろん「思考憑依の魔法」を使えない私たちは想像するしかありませんが、それでも、その人の価値観をくみ取って考えてみてください。その人なりに何かのメリットがあってそのような面倒な考え方をしているはずです。そして、もちろん、その人にとっては「面倒」ではなく、「合理的」な考え方なのです。

例え自分の価値観に合わなくても、その人なりのメリットが理解できれば、まずはそれを一度受け入れてみましょう。その価値観の上にたって、それ以上のメリットを示してみることで、その人の「言葉」で会話できるようになる…かもしれません。まあ、どうしてもわかり合えない人も居ますし、わかった上で、自分の価値観とは相容れない人も居ますが、わけもわからずすれ違うのとは全然違います。

こうした、様々な価値観の上でロールプレイングを行う事は、自分自身の価値観をより豊かなものにしてくれます。コミュ力をさらに磨いていけば、こうした人ともうまくコミュニケーションがとれるようになり、仕事の効率が上がりますよ。こういう人ほど、味方に付ければ仕事の分担をこなしてくれたりするかもよ!


バブル期に始まったCDの音圧競争。専門的に正しい言葉遣いではないかもしれませんが、可能な限り音量の高い状態でマスタリングして、再生時の音量を大きくする手法です。デジタルフォーマットでは振幅に絶対の上限があるので、限度を超えて音圧を上げようとすれば、大きな音が重なったときに音が歪むことになります。音声編集ツールにも、音圧を目一杯まで上げる機能が標準搭載されているほど、現在の音声調整では当たり前に行われている調整のようです。

しかし、音量は聴き手が調整できるものだし、音を歪めてまで大きな音量でマスタリングするのはなぜでしょう。やはり、第一印象が「音が小さくて聞こえない」では競争に負けるのでしょうか。

そんな音圧競争に、最近変化が起きています。Apple(iTunes)や YouTube で、音量のノーマライズが実施されるようになり、それぞれの基準以上の音圧で録音されている場合は、基準値付近まで音量を強制的に下げられ、他の楽曲と音量が揃えられます。

これを機に「ニコ動での初音ミク楽曲などでも、音圧競争が終わるのではないか」という意見もみられますが、少なくとも、現段階では、運営主導でこれが起こると可能性は低いと思います。

一番の違いは、Apple や YouTube と異なり、ニコ動の運営陣には、画質や音質へ興味が薄い気がします。ニコ動独自の機能は、高品質ではなく「(混雑時の)低品質モード」である事からも窺い知れます。

もう一つの違いは、Apple や YouTube は、楽曲をリストにして販売しています(一部は日本未提供)。楽曲を売る以上、楽曲ごとにユーザが音量を調整するようでは不便ですから、基準を設けて全ての楽曲の音量を揃えて品質を担保したいと思うのは当然でしょう。一方、ニコ動にはそういった動きはみられません。

音量の基準が無いからといって、必要以上に音量を上げても、大きすぎる音量には、ユーザはプレーヤーの方で音量を下げるでしょう。しかし、その「下げた音量」はいつ戻すでしょうか。リスニングに集中しているときならともかく、BGMとして聞いている場合、次の曲に入った瞬間に元に戻して貰えるとは限りません。しばらく音量が小さい状態が続いた後、何かの折に「あれ、なんか音量が小さいな」と気付いて、音量を上げるでしょう。その間の数曲は音量が小さいままちゃんと聞いて貰えないことになります。

制作側からすれば、多少歪みはでても、聞いてもらえないよりははるかにマシ。やっぱり音圧を高めにしてしまうのではないでしょうか。ユーザコミュニティの中で一斉に基準を作って対策をしないと、過去のものになりつつある過剰音圧時代から日本だけ抜け出せなくなります。

考えてみれば、音圧競争が始まった頃は、音楽の「使い捨て」が始まった頃のように思います。若い層を中心に割合を高めてきた商業音楽が本格的に売れ始めた時期で、ミリオンセラーがバンバン出た時代です。使い捨て競争に少しでもインパクトを残すための工夫が、バッドノウハウとして定着してしまった気がします。海外勢は新しいビジネスモデルにあわせて、適切な音圧運用を始めていますが、ここでも日本が立ち後れている気がしますね。


EUの新しいプライバシー法制が制定されるなど、Webにおけるプライバシー情報の扱いに厳しい目が向けられています。ユーザの観点からすれば、確かに、自分の情報が知らないところで収集され、どこかで利用されるのは気持ち悪いことです。

サービス提供者による情報収集は、主にサービス品質の向上のために使われます。ユーザの情報を集めることで、コンビニでは同時に売れる商品を並べておきますし、地域によっておでんの供給時期に差を付けたりしてサービスを向上させます。もちろん、その結果として利益の向上を見込んでいますが、ユーザの利便性を追求した結果の利益ですので、これを否定する方は少ないと思います。

今、特に懸念されているのが、サードパーティ(第三者)による情報収集です。特に広告業者による情報収集によって、どこかのショッピングサイトで見た商品が、全然関係のないサイトに広告で表示されたりします。そんなとき、そのサイトに「なんでお前が、この事を知っているんだ!」と思うかもしれません。しかし、そのサイトは、閲覧者が探している商品情報など知らないのです。これは、広告業者がショッピングサイトで収集したデータを元に、広告業者が閲覧者に最適化した広告を表示しているのです。

この情報収集には様々な方法がありますが、もっともシンプルな方法に対しては簡単な「収集阻止」の方法があります。

しかし、これが果たしてどこまでユーザのためになるか、かなり疑問です。というのも、広告の最適化を防いだとしても、広告自体が表示されなくなるわけではありません。全く興味の無い広告を見せられるよりも、まだ、多少なりとも興味のある広告の方がずっとマシなんです。愛用の化粧品の新製品情報を見せられるより、全く興味の無い健康食品の広告を延々と表示される方がウザいです。

また、現在広告業界を席巻している Google, Apple, Microsoft, Facebook といった大企業に対して、情報収集を本当に拒否することができるでしょうか。OSを握っている企業は、その気になればどんな操作情報も収集できます。SNS では、あなたのことを知っている誰かが情報を提供すれば、あなたの情報は間接的に収集されます。これは実店舗でも同じで、カード会社はあなたの買い物傾向を全て把握していますし、各種ポイントカードは、ポイントと引き替えに加盟店全店で買い物傾向を収集し、相互にシェアしています。隣町の店に行って現金で支払いをしても、そこまでにどれだけの防犯カメラに写っているでしょうか。もはや、匿名の購買情報は秘密情報ではないのです。

今や、匿名・暗号化(符号化)された購買情報は、もはや収集を防ぐ方が困難になっていて、むしろ、これを積極活用しなければ、高度なサービスの提供は難しくなります。コンビニに欲しいものが並ばず、流行色のファッションはすぐに品切れになり、サービスエリアの自販機は肝心なときに品切れになる、単に不便な社会になってしまいます。思い返せば、二昔前ぐらいは、暑い日の自販機は「つめた~い飲み物」は軒並み品切れになっていました。以前はそれを人海戦術で補充していたのですが、いまはそんな無茶は配送はできません。顧客動向や気象情報などの「ビッグデータ」を活用して、便利なサービスを維持しているのです。匿名情報に過剰に敏感になりすぎないほうが良いように思います。もとより、購買情報は、長屋を廻っている行商さんの時代から、もっと個人を特定して利用されていました。

もちろん、これが現代において、匿名ではい情報がネットに広く出回っては困ります。つまり、「○○さんは昨日□□で△△を買った」という情報が公になるようなことがあってはなりません。こうした本当のプライバシー情報は、むやみに共有されたり漏洩するようなことがあっては困ります。システムを設計する私たち側にできる事は、とにかくセンシティブなデータは集めないことに尽きると思います。弊社が運営する価格広場でも、ログインを必要とするような個人情報は最初から収集していません。収集しなければ不注意から漏洩することも悪用されることもありませんから。その代償として、高度な個人最適化はできません。個人最適化が必要なサービスでも、不必要な情報は極力集めない、匿名情報とは切り分けで管理するといった設計が重要です。