LINEの自作スタンプ、上位は3カ月で1000万円以上の収入という記事がありました。
クリエイター自作スタンプの販売総額は12億3000万円とのことで、LINE社としては元が取れたのかなと思います。システムへの投資や、権利審査という手間のかかるコストを先に払った分、5割という寺銭は大きいですよね。単純に6億円ですから。
一方で、クリエイターの方は、登録料こそ無料ですが、実際にはスタンプの作成費用として、5~50万円分ぐらいの人件費や制作費を払っての参加です。仮に最低の5万円としても、元が取れた(10万円分以上売れた)人は15%程度です。もちろんこれからも売上は上がるわけですが、スタンプ数も某大になってくるので、あまり大きな期待は出来ないと思います。一方で、100万円以上売り上げた人が3.2%居ます。一部は人気のコンテンツを持っている人でしょうが、オリジナルでこの3%に入った人は「成功」を勝ち取ったと言えます。
この統計に入っているスタンプ数ははっきりとわかりませんが、おそらく5,000ぐらいだと思います。登録数が3万とのことなので、1/6が審査を通過していることになります。思ったよりも審査速度が上がっていますね。最近は単色落書き系のスタンプも審査を通過しており、受付開始当初の「3色以上ないものは却下される」といった噂はなんだったのか、と思います。
さて、5千のスタンプの作成に費やされたコストは、1つ5万円としても、2億5千万円です。これは少なく見積もった数字ですし、簡単のため3億円にしましょう。販売額が12億円ですが、これからの売上も収益になるので、だいたい販売総額は2~3倍ぐらいになりそうです。2倍としても24億円。手数料云々が5割以上販売元に納められ、概ね12億円がクリエイターに配分されます。つまり、投資回収の期待値は「4」という、宝くじもびっくりの還元率だったことがわかりました。何でも良いので初日に登録した人は勝ち組に入れたのではないでしょうか。
一方で、現在登録されているスタンプは3万セット。という事は、費やされたコストは15億円以上です。今後も販売総額はそれほど変わらないとすれば、期待できる配分総額は12億円程度なので、今登録している人の期待値は、ほぼ「1」で、今がちょうど、期待値的には損益分岐点にあることが読み取れます。LINEのユーザ母集団が伸びると信じるならば、まだ参入する価値はありますが、逆に制作に10万円以上かかるなら、それなりに勝ち残る見込が必要です。
今後は、新規のスタンプがリリースされるペースが、LINEの実行ユーザ数の増加よりもずっと早いので、1セットあたりの平均売上額はどんどん下がっていくと考えるのが自然です。LINEとしても、審査に必要なコストはそれほど下がらないと思われるので、この市場システム自体がいつまで持続可能なのかはちょっと不安材料だと思います。一度審査したスタンプは、LINE側としてもコストをかけて審査して商品にした資産なので、既存スタンプの販売が止まることはないでしょう。ある種の焼き直しが行われる可能性すらあると思います。新規参入の壁は高くなるかもしれませんが、かといって既存スタンプとの重複を審査するとさらに審査コストが高くなるので、なにかわかりやすい形で参入のハードルが上がる可能性はあると思います。
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