2018年の日本生命セパ交流戦の全日程が終わりました。
予想外の、というと失礼ですが、セリーグ最下位のヤクルトが勝率1位。以下、楽天を除くパリーグが名を連ね、続いてセリーグとなりました。ヤクルトとパリーグが勝ち、楽天とセリーグが負けた形となった今年の交流戦を数字でふり返ってみましょう。
なお、交流戦は5月29日から始まっていますが、29日の勝ち負けが分かるように、グラフは27日から描いてあります。ご留意ください。
まずはセ・リーグから見ていきましょう。
まずは勝ち負けがわかりやすい貯金推移から。
なんと言っても借金10からのヤクルトのスタートダッシュが目立ちます。集団から離されていたところを一気に追いつきました。広島の後半の連敗も目立ちますが、混戦でよく分からないところで、2位だった阪神がカープより勝ててなく、ゲーム差はさほど変わりませんでした。広島以外が借金生活となってしまいました。
日本のプロ野球は「勝率」で順位が決まるので、勝率の推移を見ていきましょう。
4割以下だったヤクルトが5割近くまで戻し、6割超えだった広島が5割5分まで下げました。混戦模様で突入した交流戦ですが、より混戦になって出口を迎えました。中日がやや遅れたか。
それでは、優勝確率はどのように推移したでしょうか。
この「期待順位」は、相手チームとの相性を元に「このまま行けば」最終的にどの順位になるかの期待値を示します。ですから、交流戦中は、交流戦ならではの挙動が見られました。
1.6位で交流戦に入った広島は、5連敗があったものの、「今後のセ・リーグ内では6割勝つだろう」という「このまま行けば期待」がありますので、逆に1.4位に順位を上げています。2番目に付けていた阪神が広島以上に勝てなかったのと、残り試合が減ってきた影響ですね。
5.3位だったヤクルトは、6連勝で4.4位まで順位を上げます。最初から大型連勝をすると「交流戦中は全勝に近い勝ちを上げるかもしれない」という「このまま行けば期待」が入って一気に期待値が上がりますが、その分、それ以降は勝って当たり前、負ければ大きく数字が下がるという状況になります。後半はその期待ほどは勝てなかったので、じわじわと順位を下げて5.1位。もちろん「交流戦後のリーグ戦ではまた4割しか勝てないだろう」という「このまま行けば期待」によりこの順位です。リーグ戦再開後の調子が気になりますね。
続いてパ・リーグを見てみましょう。
借金11で突入した楽天の1人負けとなりました。楽天以外の5チームが貯金生活に入りましたが、ゲーム差に大きな変動はありませんでした。
続いて勝率変動を見ていきましょう。
5割5分を挟んで5チームが5割台で並んでいます。2強だった西武と日本ハムが、リーグ戦ほど勝てなかったので、3位集団が追いつき、セ・リーグほどではないにしろ、交流戦突入時よりも混戦気味となって出てきました。
それでは、期待順位はどうでしょうか。
セ・リーグでも見られたように、「このまま行けば」今後はやはりリーグ戦で強かった西武と日本ハムの対決になりそうです。3位集団の3チームは、交流戦の調子は良かったものの「リーグ戦ではまた離されるだろう」という「このまま行けば期待」が強いです。楽天は、5.9位と、この時期にしては6位に極めて近い順位になってしまいました。興味深いのは、オリックスとロッテの差が僅かに開いているところです。交流戦成績は、オリックスが11勝6敗1分、ロッテが11勝7敗とオリックスが1分け分上回ったのですが、18試合消化して1分け分しか追いつけないのでは、むしろオリックスのリードが僅かながら固まった、と言うことですね。もちろん、僅差には変わりないので、まだまだわかりませんが、今後は残り試合数との兼ね合いでゲーム差が重くなってきます。
交流戦が始まった直後に連勝連敗すると「このまま行けば全勝(全敗)するかも期待」が発生するため、期待値が大きく動きますが、期待に応えられなければ落ちついていきました。特に今年の交流戦は、順位を争うライバルチーム間での勝敗差が少なかったため、交流戦の前後での順位の変動は少なくなりました。
終わってみればあまり変わらなかったのは、結局、最終順位には、143試合中の18試合分の影響しかない、ということですね。
しかし、これは「このまま行けば」の話。計算機中のリーグ内の相性は1ヶ月前で止まっていますので、交流戦で勢いのついたチームが、今後リーグ戦で大きく躍進する可能性は十分にあります。同時に、残り試合が80試合ほどになり、序盤よりも1ゲーム差がずいぶん重くなってきていました。
このように、プロ野球ニュースでよく聞く「ゲーム差」は、(勝利数ー敗北数)というわかりやすい数字ではあるのですが、残り試合によって重みが変わってきます。また、最終的には「勝率」で順位が決まるため、去年のように「マイナスゲーム差」が生じたりと、常に順位の差を表す指標として機能しなかったりします。そこを全て補正したのが、順位の期待値である「期待順位」です。最終順位の予想ではなく、現在の勢いの把握に使ってくださいね!
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