※この記事は「広島弁 Advent Calendar 2013」の8日目の記事です。前日(7日目)は soudai sone さんでした。

またまた tsuchim です。2度目です。ごめんなさい。

広島弁には、男言葉と女言葉があります。男女で、少し言葉が違うんです。もちろん、男女差は小さくなっていますし、地域によっても違いますが、うちの実家みたいな田舎ではまだ残っています。

例えば、「ばりたいぎい」(とてもしんどい)は、男言葉です。女の子が言うと「ぶちたいぎい」になります。ちょっとかわいいでしょ?
たぶん、これは異論がかなり来るように思いますが、うちの地域の20年ほど前の言葉では、そうでした。

あ、もっと典型的なのがありました。一人称です。
男は「わし」、女は「うち」ですね。「うち」には「家=自分の家」の意味もあるので、女性を家に縛り付けていた頃の名残だという批判を聞いたことがありますが、広島の女性はそんなつもりで使ってはいませんね。ちなみに、複数形は「わしら」「うちら」で、自分の家は「わしん家(ち)」「うちん家」ですが、女言葉で「うち方(かた)」と言ったりもします。

また、1日目で紹介されていた「~よね」も、どちらかと言えば女言葉だと思います。男は「~わー」になります。…と最初は書いたのですが、ちょっと違いましたね。うーむ。あ、この例はどうですか? 「わしゃあ、カープファンじゃけんのぅ」と「うちゃあ、カープファンじゃけんねぇ」みたいな差です。今度から、広島のおっちゃんとおばちゃんの言葉の違いに注意して聞いてみて下さい。「わしらぁ、そがいに広島弁じゃあ無あわぃ」「うちらぁ、そがいに広島弁じゃあ無いよね」と言われるかもしれませんが。あ、これが、最初に言いたかった「わー」と「よね」です。女言葉はかわいいですね。伝わるかなあ。

この、男女で言葉が違うのも、古い京言葉と共通する特徴ですね。

こうした方言の性差のせいで、女言葉を喋る女の子は、女の子っぽさが倍増します。なので、広島人から見ると、広島弁を喋る女の子は「ばりかわええ」訳です。(逆が「ぶちかっこええ」かどうかは分かりません。女性の意見募集中。)

 

それにしても、そろそろ県外出身者から見た広島弁の話も聞いてみたいです。県外の方の好きな広島弁、びびった広島弁、二人で重い物を運んでいて「しっかり下げぇや」と言われて下に下げて余計に怒られた話など、他の地域の方もエントリーして下さい!

次は kakenavi さんです。


今日は、弊社プラントのほうのメンテナンスでした。山間の敷地内で草刈りをしていたら、山々を強い風が抜けていきます。
しばらくすると、空から落ち葉が雪のようにひらひらと舞い落ちてきました。見上げると、青空に幾重にも落ち葉が舞っていました。
カメラを持っていなかったことを後悔しました。

紅葉も終わり、季節はすっかり冬ですね。


※この記事は「広島弁 Advent Calendar 2013」の2日目の記事です。前日(1日目)の NeXTSTEP2OSX さんの記事はこちら

 

どちらさんも、おはようがんした。

2日目から、「あんたぁ、誰ねえ?」()う声が聞こえてきそうじゃけ、たちまち自己紹介せにゃあわからんの。

わしは、tsuchim ゆうて、1日目NeXTSTEP2OSX氏とはかなり長ぁこと付き合うてもろうとるんじゃわ。わしも25年ほど実家暮らしで祖父母と同居じゃったけえ、まあ、わしらの世代じゃあ、生粋の広島弁ネイティブじゃ言うてもええんじゃないか思うよ。ほいで、その後、6年ほどニューヨークやら東京にも居ったけえ、広島弁を外から見る機会もそれなりにあったんよね。じゃけえ、なんか面白い事の1つも書けんもんかのう思うて、今日の記事にエントリーしたんよ。よろしゅうに。

 

広島弁を世界言語に押し上げたんは、なんじゃあゆうても、NeXTSTEP2OSX 氏の Apple 吹き替えじゃろう。あの吹き替えを観て思うたんじゃがね、プレゼンしちょる Apple の者(もん)の英語が、「こがいに面白いんよ、こりゃあ凄いんよ」言うて語りかける喋り方で、言うてみりゃあ方言みたいな物言いなんよね。じゃけえ、それを広島弁で吹き替えるゆうのは、ほんまに絶妙じゃ思うたわ。

こりゃあ広島弁に限ったことじゃないんじゃけど、方言()うのは、自分の感情や心に近い言葉じゃ思うんよね。広島の者には広島弁が心の言葉じゃし、他の地域の者も、皆ふるさとの言葉がそれぞれの心の言葉じゃろ。Apple の者の「心からの言葉(英語)」を「心の言葉(日本語)」で吹き替えたんじゃけえ、そりゃあ、心に響くわの。考えてみりゃあ当たり前なんじゃけども、ほんまコロンブスの卵じゃったのぅ。

 

わしらの親の時代は、地方の方言を東京で喋るんはふうが悪いゆうて思ようたもんじゃけど、近頃(ちかごろ)はそういう風潮も変わってきちょるじゃろ。わしはね、方言をもうちいと積極的に使(つこ)うてもええと思うんよ。具体的に言やあね、方言は、キャラ付けに具合のええ道具じゃ思うんよ。わしは、広島じゃのうても、わざとね、ちいと広島弁を混ぜて喋るようにしたんよ。「広島ゆうたら tsuchim」みたいなキャラ付けができんかのう思うてね。ほいで、お土産はいっつももみじ饅頭よね。一番(いっちゃん)有名じゃろう。これが1年もすりゃあ、もみじ饅頭が置いてありゃあ「あ、tsuchim、広島から帰ってきたんじゃ」ゆうて思われたり、「広島ら辺に旅行に行きたいんじゃけど、広島ゆうたら tsuchim じゃろう思うて話聞きに来たんよ」言うてくれる者もでてきたんよ。そしたら仕事以外の部分でも仲良うなれるし、ええことが(おい)かったよ。ほんまに「おいしい広島弁」じゃったわ。

 

ほじゃけど、わざとじゃのうても、ぽっと出る広島弁もあるわね。「ガソリンがみてたけえ、()いでくるわ」なんかは、「みてる」は方言じゃゆうのに気を取られちょったら「注ぐ」がぽろっと出るんよね。しもうた、こりゃあ通じんかったわ、言う事んなるんよね。

ほいじゃが、広島弁は伸ばす音への変化がようけあるね。さっきの「多い」も「オイー」じゃし、対義語は「スクナー」じゃろ? 「はあ、たいぎいけえ、去のうや」は「ハー、タイギーケー、イノーヤー」じゃけえね。(意味は「もう疲れたから帰りませんか」じゃね。)

この広島弁じゃけど、わしが言語学を勉強しょうる者から聞いたんは、古い京都言葉が変化したもんらしいで。こないだ、twitter で、「広島弁は『おじゃる丸』の言葉みたいじゃった」言うてようた者が居ったけど、まんざら間違いでもないんよ。例やあ、さっきの「去ぬる」も、古文で(なろ)うたナ行変格活用じゃけんね。「去ぬる」も「死ぬる」も広島じゃあ今でもナ行変格活用よ。古文と広島弁の関係は、まだまだ書きたいんじゃけど、どようし(なご)うなるけえ、またにしょうかの。

 

なんか、えっと考えんといっさんきに書いてしもうたけど、どがんかったかね? 2日目じゃけえ、まだ方向性もそがいに定まっとらんじゃろう思うて、好きに書いてみたんじゃけど、こりゃあ、広島弁について語るんじゃのうて、広島弁で語っとるだけかわからんね。まあ、まとめりゃあ、やっぱ広島弁に限らんのんじゃけど、「方言は心の言葉」じゃというのが言いたかったことなんよ。じゃけえ、方言はできるだけ次の世代に繋いで行きたいのぅ思うんよ。ほいじゃに、わしは次の世代の前に、嫁さん探さにゃわからんのう。ええがにいかんもんじゃのう。

(どがんしても意味の分からん言葉は @tsuchim に聞いてくんない。)

 

では、明日3日目の方は @maimari_1113 さんです。お楽しみに!